●フィルム・コミッション

西村隆

 映画製作に対する公的な助成の遅れが指摘される一方、制作環境については 2001 年 2 月に「フィルムコミッション設立研究会」がスタートし、 2007 年 4 月現在で日本各地に 100 近くのフィルムコミッション(以下、 FC )が設立されるなど大きな動きが生まれている。

 FC とは、映画、テレビ、 CM などのロケーション撮影のためのサービスを行う非営利の公的機関のことである。 1970 年代にアメリカでハリウッド映画のロケ誘致活動を契機として始まり、今では世界各地に広がった。

 日本各地の FC の活動を支援する「全国フィルム・コミッション連絡協議会」のパンフレットには、世界的な FC の 3 原則が掲げられている。「中立な公的機関であること」「 One Stop Service の提供」「作品は拒まない」──民業優先のアメリカで始まった FC が公的機関を原則としているところが面白い。

 映画の撮影自体は企業、あるいは個人の活動であるが、撮影時になるとその地域社会は大きな影響を受ける。プラス面では、地域の雇用促進、観光 PR となり、マイナス面では、地域住民に不便をかけることもある。公的機関であればこそ調整可能な仕事だろう。さらに公的機関だからこそあらゆる撮影に対して平等に YES ということができる。また、撮影の許可をえる側だけでなく、許可を与えるさまざまな管理者や所有者に対しても窓口が一カ所で済むことが One Stop Service の真髄だ。

 日本では映画やテレビの映像が人々の日常にあふれているにもかかわらず、映像産業と人々の生活との関わりは非常に薄い。映像産業と社会との接点に位置する FC の仕事は大変重要で、日本国内だけでなく海外の映像プロフェッショナルとも対等に付き合える「フィルムコミッショナー」という職業の確立が望まれている。

 

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